光る道に始点と終点を引き渡した君は斃れただろう

ときおり現れる一本の道なら
両脇には数えられるほどの数えられない枯れ木に似た木立
その先に浮かぶ真っ黒な太陽は決して日食中ではない
向こう側に、より大きな月すら浮かぶだろう
そんなことを考えながら少しづつ忘れてしまう君を
私は許すことができないでいる

聞いただけで見たことのない九十九折の階段に伏し
私たちは折り重なっているが
君は海を見るか、それならば私は山を見るか
私が海を見るか、それならば君は山を見るか
ふたりして海と山とを同時に違えて見ているだけだろう

重なるほどに遠くにいることで立ち上がってしまう
座り込み倒れこみたいのに立ち上がってしまう
烽火は激しい、赤黒い炎も何本も立ち上っている
着弾音が激しいあいだを縫って遠い私たちが立ち上がってしまう
そんな、ときおり現れる一本の道なら
不吉な鳥の一羽さえいれば十分だ

そして、いつか聞いた郷里の話を共有した
郷里を創生するのだと沸き立つひとびとのあいだで
ひっそりとだれも振り返ることのない郷里の話だけを

舞うように湧き出ずる黄金を抱える国で
どれだけの不幸を生み出そうかしら?
愛なら到底、不足しないほど満ちているわ

すべてがあまりに狂気すぎていて
すてべがあまりに正気すぎる
だのに私たちの道には狂気も正気もない
ただ曲がりくねった直線、迂回だけを知る直線の原理に従って
寂しい歩みだけを、哀しい立ち上がりだけを存在せしめているだけだ

初出:note.mu(20150602)
2015-06-27 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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