きみの愛が、わたしたちを追いかけてバスは発車した

傷だけでは足りないと血を求める
きみの愛は飢えきっているから
自らの姿形を喪ってしまったから
忘れてしまった姿形を取り戻すため

それは草むらで、よりロマンチックには草原で
大きな月の見える丘に雨が降る夜
傷を、つづいて血を
求めながら、きみの愛が干からびて
潮風を呼んでいる

岬をめぐる鳥に色を与えるように
静かな星の弾ける音を与えている少女のように
年老いた男は銀河にも手を伸ばす
指先をめぐる血の温度を星に変えて
ついばむ鳥を愛する方法を確かめている

幾重にも大きく振られる帰り道
疲れきった川を幾筋も渡りながら私たちのバスが往く
バス停を持たないバスが走り始める
きみの愛が追いかけてくるので
バス停を持たないままバスが走り始める

夜の加速に更に加速を加えながら
きみの愛が追いかけてくる
私たちのバスは冷たい車体を揺らすこともない

果てのない白銀を滑ってゆくソリのように
少しは白い時間を蹴散らしながら
それでも眠りを脅かすほどの音はたてることもなく
あの森のなかを、見えない森のなかを目指して
私たちのバスは走り始める

初出:note.mu(20150613)
2015-06-29 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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