街景に知らぬきみを想い出す万年筆が紙を見失う

きみが泣く声を覚える前に朝がきたのを覚えているだろうか、冷たい夜に暖かな夜が忍び込まないように風がせき止めている。
「始めてなんて、そんなもの」と、大人びた女がいい捨てて闊歩する街に彷徨いながら出逢うと汚れた川に浮いた紙オムツをつつきながら小学生が嬌声を上げていた。

「女みたいね」
きみが静かな海の音に似せた声で呟くと、夜に似た昼だった。うなじが星に光るように木漏れ日に光っている。
痛みがきみを離れながら二倍の強さで私に浸入してくる。波が少しづつ砂浜を削り、岩に戻そうするように、あるいは岩を削り砂浜に戻そうとするように、私たちの交感が私たちの知らないところで生起する。

万年筆が紙をなぞる音を聴いていると、そんなきみを想い出すことがある。一度も寝たことがないきみを、ふと想い出すことがある。

初出:note.mu(20150614)
2015-07-01 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補