やはり、波が訪れる

忘れるのに必要な距離も時間もなかった私たちは
いつでもそこにいたし、そこにはいなかったから
忘れるのに必要な距離も時間もなかった

きみが一言も発することさえなければ
きみを知る私もいないで済んだ、それだけだった
ひとつの言葉が置かれ、もうひとつの言葉を置き
その単調なくり返しが私たちを形作っていった、
ただ、それだけのことだった

横顔さえ知らないままに私たちは空を持ち、
大地を持ち、海さえ所有し始める
そんな哀しい営みをこどものようにくり返し
飽くことの大事に気づいて私たちは呆然とする
忘れることの大事に気づいて私たちは慄然とする

飽いて、忘れることだけが大切なことで
私たちに最も必要なこととして遺された
まず私たちは私たちを棄てた
棄てたはずの私たちは永遠を得たように笑う

すこし哀しい恋の壊れる音だけを残して
遺された私だけが砂に埋もれるように波に打たれている

note.mu(20150617)
2015-07-03 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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