泣くことが行方不明になりながら、それでも金色の季節に向かえ

私よりも私らしい頭蓋骨に血を塗っていると穏やかな日曜の陽が降り注ぐ。
乾くことしか知らない彼らを乾くままに、鉄の匂いが変わらないままに、静かで知らない曜日を教えてもらいながら覚えることがない。内臓を空にしたまま反響する音で話を続ける男とすれ違ったが、気づく様子もないままに彼は過ぎ去っていった。
「恋人がいただろう」
笑いながらだけ 訊く 声がするが恋人を知らないので、いたかもしれないしいなかったかもしれない、それだけだった、わかることは。
「恋人がいなかっただろう」
まじめに訊く 声がしたが恋人を知らないので、いなかったかもしれないし いたかもしれないし、それだけだった、わかることは。
「血の匂いは好きですか」
それが私の最初の問いで、今もくり返し続けているし未来も繰り返し続けている問いだった。きみよりもきみらしい頭蓋骨を見つけたので少し割ると貝に似ていたので想ったとおりだと想いながら耳をつけてみる。
「ほんとうに愛していたのよ」
必ず幻想としかならない音が幾重にも共鳴を繰り返している。
金色の季節、秋は、まだ少し遠い。
秋を知らずに金色に輝く小麦畑のなかでひとり、見えない地平線までを満たし続ける金色の小麦が静かに揺れるのを見ながら少しだけ泣いてみるという真似をしてみたが、うまくいかない。
確かめてくれるひとが見つからない。

初出:Tumblr(20150620)
2015-07-06 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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