彼が想い出す季節に想い出せない

遠くまで降ってゆく雨を見送りながら彼は斜めに浮いたように留まっている、語ろうとし始めた恋は始まってもいなかった。
そのまま窓なかに戻ってゆくと彼を追いかけてきた冷たいだけの風が彼を打った。雨は彼をおいて、とっくに視線の届かない異国にまで消え去ってしまった。
雪の季節、彼が恋を愛し始めた季節、淡い地熱だけで雪が融け、大地が空に馴染んでゆく季節、彼は色々な人から忘れられた。
恋について思案する彼は存在を放棄したかのようだった。
冷たい星が通りすぎ、彼を心配そうに見つめる、そんな雰囲気を想い出す。
今は梅雨、冷たい雨よりも冷たく雨が降り、そんな彼のことを想い出すひとも蘇るかもしれない季節。
私は彼のことを想い出すことができない。

初出:BlogSpot(20150621)
2015-07-09 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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