猫好き嫌いの猫好き

初出:Tumblr(23 6月, 2015)

生物全般、嫌いなものを訊かれても想いつくことが難しいので人間と答えることが多いが、格別に人間が嫌いかというと別に大して何とも想っていなかったりもする。

二週間ほど前に黒に少しだけ強い紅毛を交えた猫が隣の空き家か我が家の縁側下かで出産した。瓜坊みたいなのが三匹と灰斑の一匹の計四匹。天気が良いと四匹が我が家の庭をうろうろよたよた遊ぶので、気になる我が家のトイプーが落ち着かなくて敵わない。少し仔猫たちを覗きに行ったら帰りの通路で母猫と出くわし、「ふーっ!」とにらんでくるので「そっち、そっち」といいながら退却の余地を残しつつ戻ってきた。

威嚇されながら「やっぱり猫も嫌いではないな」と想ったが、猫好きを称するひとが苦手ということは多い。「私、猫だから」という女性に至っては怖気がする。彼らに共通するのは「大好きな気ままな猫のように私も気ままなの」という単なる身勝手なので、あまり近寄りたくない。

猫は気ままに過ごしているように見えるが、いったん人手を離れれば野生に等しく生き抜く強さを湛えてもいる。逆にいえば猫の気ままさを支えるのは野生に等しい環境で生き抜くための「日常の心得」に近いものではないだろうか。

だらしなく好き勝手をしていたかと想うと厳しい環境に置かれかねないと知るや、途端に従順になって愧じない、そんな「猫好き」に好かれたら猫も迷惑だろうというのは大抵の場合、言い過ぎなので言わないが、とかくネットには猫好きアピールが多くてやり難い。
犬好きのまま、猫に嫌われる猫好きにだけはなりたくない私は猫嫌いを標榜しておこう。

少し早足の雨雲が立ちこめてきた。
母猫と四匹の仔猫は冷たい雨の日を、ずぶ濡れになりながらも黙って過ごすことだろう。

2015-06-23 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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