雨だと知った日、雨の止んだ夜には

今日を今日とする基準が見つからないまま今日が終わるのを見つめていた。

聡明な少女が追い越そうとした風を見つけた後、影を避けて降る雨に打たれながら雨音だけを記憶した。そんな風に覚えている限りの今日は、昨日にはならないまま消えてしまうだろう。

きみの声を想い出すほどに鮮明な意識を保っていられない。
それを辛いとは言いたくはないので、きみとは出逢ったことがないことにしたし、出逢うための別れさえ用意して、いつか出逢うのだと刻む石を探すと夕暮れは遠かったのだ。

雨粒のなかから始まった時間がどこに消えたのか。
その意味を問いたいのか、知りたいのか、聞きたいのか、そう考えればどうでもいい。
ただ、もし、きみの声でなにかが呟かれるのなら、それを聴いてはみたいだけだ。

意味のない問いに意味のない答えを、きみの声で、それで十分だった今を過去にして明日は抱いて過ごしたい。
そんな風に希望を持って過ごした昨日を、ふと想い出しかけると今日は終わるだろう。

ああ、逢いたいひとがいることは幸いかよ
ああ、逢いたいひとがいることは哀しみかよ

ぼくの耳のなかで聴こえない反響を繰り返すきみの声
記憶からは消えたまま想い出をかすめてぼくが歩き出すきみの声

雨の止んだ夜には、もう今日がない、雨の止んだ夜には明日がない、昨日もない。
雨の止んだ夜には、もう、なんの機能もない。

初出:BlogSpot(20150623)
2015-07-11 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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