指先と、そして指先と

そこまでで終わる陽の光を追いかけて、私の指先は触れているだろうか、その縁に。
ただ冷たいだけの光の終焉を見送るように、さらに先に伸びるように、私の指先は伸びているだろうか、触れているだろうか、その縁に。
届く限りならば届くはずの指先にはなにも触れることがない、その指先をすこしだけ伸ばして、季節について語ることをせずに。
熱暑に晒された路面には冷たい影が這う、そんな風に私の指先は伸びているだろうか。
知らないきみには、たくさんの恋をした、知っているきみには、たくさんの愛を感じた、だから指先に触れてください。
車に轢かれて千切れ干からびた、正体の知れぬ動物たちの切れ端のように、指先に触れてください。
彼らが生きていたころの記憶、記録のありかのように、私の指先に触れてください。
きみの熱を覚えているだろう私の指先に触れてください。
寒さのなかで滴る汗を拭い、暑さのなかで凍える身体を抱いた、私の指先を知りませんか。
もう、そこまでですべてが終わる、私の指先を知りませんか。
だれもいない、そこまでなら伸びているだろう、私の指先に触れてください。
陽の光を追い続けているか、それだけを書いた手紙を送ってください。
封筒に入れ忘れたまま置き去りにされた手紙を、私のうえに、そっと置いてください。
2015-07-23 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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