バスは無言であるだろう

やさしすぎる無言を聴いているとセミが鳴き始め、陽が差し込み始めた。
包帯を巻くのが限りなく下手くそなナースと厚い雲のした、小さな川の小さな砂利を踏みながら大きな川のように渡る。なんにもないようになんでもある夏だったので夏ということばだけであふれている、あるいはそれが川だったのかもしれないし夏だったのかもしれない。
セミは鳴いているか、木の一本もない街々で。夏は泣いているか、夕暮のひとつもない街々で。
バスが過ぎる、音もなく、バスが過ぎる。やさしすぎる、その無言が夕日に伸びてだれかを遠くへ誘っている。運転手は、見当たらない。

(初出:2015/08/24 From note)
2016-01-25 00:00 : Zero Areas Ⅰ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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