ある定義としての

その歩みを呼びながら陽の光(いつも私は、それを陽と呼びたくなる)が踊る湖面を、川面を想いだそうとしていただろう。

その歩みを叫びながら、と書きかえたい衝動を苦笑いする距離を探して腰を下ろすと、けっしてそれは丸い石ではない、突きささるような岩肌。それでも良いのだ、座りさえすれば想いだす君の笑顔を海の波に重ねてみる。遠い雨を海が抱こうとしているのを虹が押しとどめる…なんて、無粋なことなんだ。

取りもどそうとされていた廃駅を、ついに取りこわすという回報が滞ったまま、焼け崩れていた。いつでも連絡は、途絶えるまでの命しか持ちえないのだ(そこが報告との違いである)。
歩く音だって聞かせるように君は近づこうとしてきたが、だれにも届かない足音を自らの体のなかだけに響かせて、その残酷さに凍った笑顔を覚えてしまったんだね。つまり、きみは連絡板の最期を知った、そういうことだと想う(楽になりたい、それは悪いことじゃない、しかしたいして良いことでもないと想う)。

ゆるやかな階段とスロープが並んでいる、競っているのだ、どちらが使われるか、とか。それは、いつでも、どこでも生じていることだった。ただ、それに気づいてはならなかった(無駄なことに気づくのは悪くはないんだよ、本当は)。きみと私との間にも同じように無数の階段、無数のスロープが並んでいる。それをきみは哀しいと言いたがる無言で包んで包んで、包みつづけてきたが。

拒むことを知らないのだ、あるいは拒絶を。

叩きつけられ続けられることしか知らない拒絶は持ち主を問わない。
「ノン…」
開発のために立ち枯れた古木が大地に向けて発しただろう、無駄だった、有益なものなんて、なにひとつなかった、そう知ることができた、生きたまま切り裂かれる根から流れる血を黙って受けいれようとする、やはり大地。

空と海との関係について、もう一度、語ろうと想う。
語らねばならない、誰かが、つまり無数の私が、無数のきみが。
けっして埋めえない距離についてなら、私は君と一緒にいられる、君は私と一緒にいられる。
それだけが「定義」だった。
2017-04-06 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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