廊下は巡りて

遠くにだけ届く声については
いくども語りつくされてきたのだが
近くにはけっして届かない声について語るべきだっただろうか
月のように長い女の声は、やはり遠くにだけ届くのだ
近くにはけっして届かない
(聞き届けられないということなのだが)
やがて訪れるだろう秋に備えて
湖畔をめぐるように越冬する鳥の群れに紛れ込む
そこに眠りはない、半分づつの眠りに眠りはない
そう断定する冷たい切り株に座り
あなたは、あなたの哀しみについて語れない
短すぎる廊下は嫌いだった、
だから巡る廊下を作ったのだった
近くにある遠くというのは、巡る廊下のことだ
そう言いたいだけだったのは、あなたではない
それは、きみである
その存在は風景を季節に変えるだけだったが
2017-06-04 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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