マンモス哀歌

ほとんど視野を覆う葉をつけた木を見上げ
それでも透けた少しの空は白く
空は蒼くないことを知ったが
木の葉も緑ではないことも知った

誰もが空が蒼いというとき
誰もが葉が緑だというとき
私は、なんと言うのだろう
(今、決めなければ)

木を背に見渡すと小高い丘を電車が走っていた
まだ遅くはない昼だった
待つ人も、待つこともない昼だった
電車が過ぎた後には何も残らず
その先を飛ぶジェット機の跡が切れ切れに見えるだけで
その跡が左斜め上に切れ上がっているのが見えるだけで

幾人(より正確には「いくつ」)もの足跡が
私の足元に連なり来て(一つは私だ)、そして去って行った
そうだ
ここから去らねばいけない
去る前に、もう一度、見上げた私

幾度も話したことがあるのだけれど、北の地には昔いたマンモスが氷の中に閉じ込められているという。私は立ったまま氷の中に沈んでいくマンモスを想う。吐く息が、たちまち凍る時、吸い込んだ息で一瞬に凍りついたマンモスを想う。

やがて降る雪は絶えず足元から静かに忍び寄る
永遠に降る雪が氷となって自分の一部に飲み込んでいく
全てが氷に飲み込まれていく
音のない、鼓動のない世界に

きっと溶けない氷はない(と信じている)
宇宙に飛び出した氷は(考えるな)
何億、何千億年の氷結さえ溶ける(信仰だ)

僕が僕のままに凍ることが出来たなら
世界は静かになるのだろうか
2006-09-19 23:41 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補