水滴の中を往く

君の瞳の少し茶がかった黒目を過ぎて、
靴音は柔らかく乾いた音を立てながら土に塗れていく。
透き通った土に塗れていく。

しゃがれた枯葉の透き通った中を往くと空はない。
空のない枯葉のしゃがれた中を往く。
風に吹かれた帽子は背を越えて飛び去っていくが、
少しすると、またスルリと頭に収まり、しゃがれた中を往く。

見えないものに真実などないのに、
透き通った枯葉が舞う中を、
透き通った人々の通り過ぎる中を
透き通った君の傍らを

そうして歩き続けていくと、きっと僕も透き通るに違いない。
そう思った僕の心臓は赤く、トクントクンと脈打ち、
ああ、僕は透き通ることが出来ない。
流す涙さえ濁って落ち、透き通った土に吸われていく。
吸われていく先が見えないままに消えていく。
僕から遠ざかっていく。

同じ時間を君の涙が流れるとき、
空が蒼さを取り戻し、僕は透き通るが、
僕の涙は誰にも見ることが出来ない。
僕は常に君と、あの夥しさと同じ時間を歩いている。

蜘蛛の糸のように細く流れ落ちる水流の途切れるまで、
僕は歩き続けることを止めることが出来ず
2006-12-04 13:17 : 落陽 : コメント : 2 : トラックバック : 0 :
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透明ではないゆえに
透明感とその透明感への違和としての私……濁って汚れたものが真実を持ちます、といった陳腐な読みを提示したかったのではなく、ただまっくさんがいなくなってから、驚くほど寂しい世界がありました。
これは、帰ってきたのではなく、ちょっと通りがかっただけなのかもしれませんね。いえ、帰ってくることが、新しい「通りがかり」を作り出すのでしょう。kairouさんは文学的な世界に行ってしまわれたし(本当はどこにも行っていないですが)、同人誌よりもごちゃごちゃなブログ世界の方が真実を持つのではないでしょうか。透明ではないゆえに。
2006-12-05 00:49 : M URL : 編集
忘却の只中で
Mさん、こんにちは(^^)

たまには何か書きたいと想いつつ筆不精が高じておりました(汗)。
「透明」については常に書き(言い)たくて何が書き(言い)たいのか分からないもので、今でも、これからも、どうも分かりそうにありません。

回廊さん、同人誌に寄稿され始めたみたいですね。今まで引っ込み思案気味でしたから想うまま羽ばたかれるのも楽しみだな~、と。Mさんの「坂の上の非風景」を手に取ると、やはり文字になることは、読者として有り難い事だな、と想います。

私は、いつでも何でも忘れてしまうので、人並にまともなことが何一つ言えません。今まで読んだ本も、ほとんど忘れました。哀歓を共にした人達とのこととの多くも忘れました。ブログを書いていたことも忘れかけてました。
忘却は、自分という存在の欠落と可能性を示すようで、実は何も起きなかった時間を作る作業なのかもしれないと想ったり。そうして透明な私の涙は、きっと濁っているのです(苦笑)。
2006-12-05 09:43 : まっく⇒Mさん URL : 編集
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拝啓




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