川と辺(ほとり)と

一人で語り継いできたつもりだった哀しみの一欠けらを曇ったガラス瓶に入れて川に放った
すぐに霧に包まれて見えなくなったガラス瓶を、川から遠ざかりながら振り返ると少しだけ、涙が光った気がした
海には続かない閉鎖した川で私は何も見えず、誰とも語ることなく浮き沈み、流れ、忘れられ
時に出会う幻光に瞳を焼かれ、あの日を遠く想い出しながら泣き笑ってしまう
ここには誰もいない
私と私を入れたガラス瓶と、そして川があるが
時折、赤い夕焼けか朝焼けを感じるのも気のせいだと想う
音なく川に揺られ続けたための幻覚なのだと想う
こうして、いまだ語り継いでいるつもりの哀しみの一欠けらを誰が見つけようか
誰が拾おうか
ガラス瓶に詰められた少しの空気が尽きる時は遠くない
無数のガラス瓶がお互いに触れることなく、お互いを知ることなく、ただ流れている
2007-07-05 12:57 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補