そこに非在する蛙の身に浮かぶ水滴が絵に描いたような水滴
明るい陽の下に黙って光り続けている絵に描いたような水滴
冷たい風に吹かれて形を変え、そのいくつかは蛙の身を滑り落ち
その水滴は消えていくのだけれど消えようがないのだけれど
蛙と私との間には間はなく、そして遠巻きに見つめているだけで
蛙を照らす、見たはずの光の陽は鮮明に私の影を照らし
消えない光と消えない影と斜めに沈んでいく冷たい太陽は、すべていつまでも同じ場所にあり、動き続け、現れ続け、消え続け、
ただ紡ぐ言葉の在処を探るような作業に飽いて、ただ紡ぐ
そんな紡ぎ方を忘れられたままに泳ぐ言葉達と、やはり知らない君をそこに見て私は笑う
あまりに可笑しくて、笑ってしまう、泣いてしまう
土塊さへ身にまとっている、非在の蛙を見て私は笑ってしまうのだ
遠くでは潮の香が風に運ばれ、きっと多くの恋人達は抱き合うというのに
髪梳く潮風の中で君は笑い、強く抱きしめられて無言で遠く想うのだ
かなしみさへあれば、などと想いながら君は抱き返し笑うのだ
そして暗闇に包まれた中で、非在の蛙だけが水滴を身にまとい、その光を浴びた水滴が一粒だけ落ち続けて消え続けて、永遠に光を浴びつ消え続けて白い縁取りの大きな花弁の赤い花
そう、その赤い花の花弁にも水滴が乗っていたのだ
きっと暗い中で赤味を帯びた、その水滴に触れた指は私の指であったのに、その指紋の隅々にまで水滴は行き渡ったはずなのに、今は
ようように想い出してきた、あのいくつかのことは遠くになく、ここにもなく
だから君はきっと、僕を笑う
きっと、ボクヲワラウに違いない
テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学
- 2008/01/28(月) 23:23:01|
- 一億光年の氷光
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