全てでない全て

涙で綴られた本を本棚に戻し
静かに過ぎる夜は街を歩く

吹く風に優しさを求める人波に
優しさの記憶を求め、言葉を求め
嘘で出来た真実が闇に散る

飛ぶことに疲れた渡り鳥達が眠る時
空は雲を払い、星と月の灯りを届けるが
静かに流れる風が光を遠くへ運ぶ

音の記憶は形を得て消えるが
貴方の残り香は形ないままに残り
静けさだけで出来た室内を満たす

私が見聞きした全てを集めたら
疲れ切った貴方の笑顔は消え
ただ嗚咽する背中に戸惑うだけだった
2012-05-06 21:19 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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