時に断ち切られた優しさは

空の見ていた夜は硝子窓を過り
照明が消え、冷え切った部屋を吹き渡るが
振り返る人とてない家具はシンとしたままで
ただ時計の音がコツコツと響くだけだった

淡い月光に照る路面が雲影に覆われた時
犬の遠吠えが低く一啼き街灯の間を縫ったが
立ち止まる人とてないままに
静謐な優しさがサラリと零れ落ちただけだった

夜露の湿気を吸ったシャツは
歩くだに鬱陶しい程、愛しく肌にへばり付き
昼に流した汗の匂いが仄かに立ち上り
昨日と明日の間にある疲れを想い出させる

今日、通った道は昨日にはなく
きっと明日にもないだろうように
目の前を見知った顔が通り過ぎ
塊を成さない言葉達が飛び交ったが
想い出す何も残らずに消えて往く

時の断崖だけが連なりを成すというのに
誰も、その連なりに立つことが出来ぬように
目の前の、ほんの小さな優しささえもが
ただ、時の断崖にのみ静かに佇んでいた
2012-06-01 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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