雲の眠りに優しさを待つ

月を隠したままに仄光る雲は
静かにざわめく森を照らし
闇に散る生命と共に漂う

彼らの悲鳴は音にすらならぬまま
暗闇に響かずに消え
落ち葉に滴った一滴の血だけが
去り逝く者達の全てだった

森の全てを湿らせながら
薄赤い霧は木々の間をすり抜け
やがて海と混じる浜を覆う

記憶を持たない波音は
絶え間なく朝陽を待ち続けるが
波寄せる砂の間に潜り込み
誰の耳に届くこともない

森から飛び立った一羽の烏が
夜の喧騒の名残を啄み
人気のない街の唯一の住民だった頃
ようやく遠くで車庫の音が響き
雲は眠るように散ったのだった

その時、少しだけ許された月は
街を遠望する山際に微かな名残を見せ
寂しい微笑みを散らせた光が
一葉の雫に吸い込まれていき
いつか出遭うだろう優しさを
静かに待つ、眠りに就くのだった
2012-06-15 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補