小さく涙を流す夜道に

月明かりに照らされて傘は揺れ
降り注ぐ星の光にサラサラと響いて
夜光に仄明るい畦道を行く

傘内で吸う煙草の煙は細く棚引き
夜空を流れる銀河と、軌跡を共にはするが
成層圏に届く遥か前には散ってしまう

やがて湖畔に辿り着いたが波はなく
水面には空に輝るのと同じ月が浮かび
放たれた星々の煌きも輝くが
その暗さは夜空より深く、冷たかった

遠くを走る汽車の音が大きく森を跨ぎ
湖上さえ滑り渡るというのに
私の声は何処へも届かないまま
ただ過去の中に吸い込まれてしまう

貴方に宛てた何通もの手紙は
どれもこれも書き掛けのままに机上を彷徨い
開いたままの封筒も呆けている

薪の爆ぜる音にビクつきながら
私の筆は、いつも宙に浮いたままで
ついぞ紙に触れることすらない

貴方と過ごしたよりも幾倍もになる時間が
そうして、ただ過ぎてゆくだけの夜に
月明かりに抱かれた傘が
私を忘れて揺れ続けているのだった
2012-06-20 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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