忘れた遠景を仰ぎながら

流し忘れられた涙を後にして
慌ただしさに忘れられた寂しさを過ぎ
森の奥を突き抜けると見える山の頂きを
遠くの霧向こうに仰いだ

濃紺の夜空には月も星もないままで
深く静かな海面そのままのように
淡い光が緩やかに波打ち、寄せては返し
その息遣いだけが全てだった

微かな境界を保って浮かぶ山並は
息を潜めることで夜空と離別しつつ
暖かく柔らかな夜風を吹き下ろし
そっと優しさを運んでもいる

そっと私を包んでいる手は華奢で静かだが
今にも駈け出して行きそうな鼓動を抑えるように
放すまでには至らない優しさを探している

二人の手が離れぬ幅の小川を跨ぎ
結ばれたままに漫ろ歩きをしていると
時折、辿り着くはずもない遠くの方で
何かが跳ねる水音が響いてきては
二つの微笑みも重なり、夜に溶けていった
2012-06-30 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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