満月に啼く烏達

赤い満月の哀しさが歌となり
独り街の灯を渡る夜には
永い時間に閉じ込められていた季節が
想い出した涙に濡れて街角を覆う

定規の描く線が蛇行すると
コンパスの描く円の輪郭は淡く消え
綴られた言葉達は繋がりを失い
無数の紙片に砕け散るだけだった

山の稜線を嫌った夜が海を目指し
明けゆく空に偽りが散りばめられると
ようやく息つけるようになった私達の涙が
滑稽な同情を互いに寄せ合いながら
新しい一日に穢されて行方を失う

吐息の交錯した街が寝息を包んでいる時
明るんだ空を流星が駆けると
街を漁っていた烏達は寝床を目指し
再び遭うことのない別れが街を満たす

夏の記憶が闇中に交わった優しさにはなく
遠ざかりゆく波音だけであるように
満月は今宵、歌った歌を忘れて眠りに就き
反響するのは烏の飛立つ鳴声だけだった
2012-07-01 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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