雨の気配の物語

地面から雨の気配が訪れると
いつものことだが植物達は根を幹を葉を
やがては持てる全てを降雨の備えに捧げ
動物達は、ただ静かに息を潜めた

しかし川には雨が降ることはなく
流れ込んでくる一粒一粒を受け容れて
共に流れて雨の一部とはなるのだが
ついに川が雨となることは叶わぬままに
ただ雨が川となるだけだった

そして海は雨を知ることがなく
川とだけは交わり続けているのだが
常に雨と共にある山は川を下り
海と山とが一つになり
海と雨とが一つにるのだ

やがて本当の雨が降ると山は崩れ
川面は激しく雨粒に打たれ
海は流れ込む濁流に穢され
動物達は棲家を追われて翻弄された

その時、誰にも知られず育った樹の一枚の葉が
本当の雨の風に吹かれた僅かな時に空を舞い
誰も知らぬ地に落ちて尚、少しだけ蠢いては
先に落ちた葉達と後から落ちてくる葉達に挟まれ
いつものように、静かに雨に打たれるのだった
何も変わらなかったように
静かに、静かに雨に打たれ続けるのだった
2012-07-12 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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