雨と無記憶に打たれるままに

それでも淡く届いていた陽光を最後に断ったのは
傘を持たない私を打つ予報された通りの夕暮れ時の驟雨だし
たちまちにしてアスファルトに溢れたのは光の粒達で
微かな想い出に残っていた貴方の涙の像が重なっていった

貴方の夢の中にしか住むことを許されなかったのに
眠りを忘れさせるから夢は嫌いだと貴方は言い
貴方の側にはいないままの私の手をとろうとしては泣き
私は届くことのない夢の中から貴方に手を伸べ
測ることすら許されない届かない距離に吹く風を虚しく掴み
冷たく濡れたままにしていたシャツを想い出す

貴方の記憶は常に雨と共に訪れるが
想い出は雨と共に薄れゆくので私の涙は涸れてゆき
今ではもう貴方の横顔すら想い出すことが出来ないままに
激しく体を打つ雨に貴方と二人の全ての想い出を託し
ただ貴方の求めるままに手を延べて続けている

冷えていく体で手を伸べるのは酷く辛いことで
何故、何処に手を延べているのだろうという疑問だけが
時折は私の全てを満たし、身を縮めようと想わないでもないが
もう、とっくに訪れることがなくなった、あの夕暮れを想い
もう一度だけ、もう一度だけ、と手を延べ続けるのだった
2012-07-22 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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