今夜、渚の眠りに就こうと想う

ただ消えることだけでしか示されない水平線があるが
夕陽が水平線に曳航してゆく船を追うことは
やはり愚かしいことなのだろうかと自問しつつ
波を消したので、今は砂浜の延長にはない海面を
そこには残っていない貴方の足跡を追って歩いた

否定はしないけれど
と言ったままに凍る貴方の唇が遠く霞むのは
いつも決まって小さくなり続ける船影を背後に見る時で
貴方は私の前に立って少し困ったように微笑むので
風に流れる髪をボンヤリと眺めていたが
そうして風の向きが変わる時までを過ごすのだった

たった一言すら書くことが出来ないままの手紙を
あの小さく消えてゆくだけの船に託したが
その船荷には宛名が必要ないので
もしかしたら封筒だけを預けてしまったかもしれないと想い
二度とは戻らない、その船を待ちながら
あまりに遠くの貴方と二人きりの夜を迎えるのだが
手紙を書くことも託すことも必要がないと知り
私は今日も、明日の夕陽を想い出して渚に眠る
2012-07-25 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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