二人の間に詩集が置かれたために起きたこと

貴方が苛立たしげに言っていたことは
確かに間違いなんかじゃないし、分かることなのだけれど
違うように見えるだけで、たった一つのことしか書かれていない詩集を
私は手離すことが出来ず、ただ幾度も幾度も読み返し続けているし
本当のところ、全く読んでなどいないのだった

でも貴方の言い方は、それはまるで
私が貴方の傍にいたとして
昨日と同じように今日も傍にいて
今日と同じように明日も傍にいたとして
その繰り返しを疎んじているようなものだったので
私は読みたくても読むことすら出来ないのが実際だった

そうして結局、貴方は私の嫌いな歌を口ずさみ
貴方がそうであったように、私も貴方の傍に居ることには耐えられなくて
私達はお互いに、お互いを尊重するという言葉と共に別れ
別れてから過ぎる月日を数えることもないのだ

二人の間で起きたことをまとめると、そういうことと
貴方が誰かに言ったと伝え聞いたが
それは至極、簡単にし過ぎていやしないかと想う

私は今でも詩集を手にして読むともなく視線を走らせると
傍らにいる貴方が、私の好きな歌を歌う合間に
どんなことが書いてあるの?
と問いを繰り返したことを想い出すし
その答え、つまり詩集に繰り返されている同じことが
もう手の届かない所に行ってしまったことを知っているもの

やはり貴方は簡単にし過ぎだと想うし
私は、もっと簡単にするべきなんだと想うし
未だに流れ続ける涙を止めるには
その一つのことをハッキリと伝えなきゃいけないんだろう
2012-07-26 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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