(それでも愛しているから)

蒼い空に貼り付いたままのようであるのに
千切れながらも集約し、集約の中に千切れた雲を
貴方は私を遠ざけてしまうから嫌いだと言い
雨の匂いを含んだ哀しい風を求めて髪をかき上げては
私の指を一本、一本と掌に包み
その感触に私を求め、確認しては頬に寄せた

しかし私を貴方から、世界から遠ざけるものは
寂しさだけで出来た雨を含んだ雲なんかではなく
千切れながらも集約し、集約の中に千切れた言葉達で
私が貴方に向かって発する言葉達だった

宛てなく歩く二人の間で廃線の線路は錆び朽ち続け
名を知られることのないままの色違いの小さな花達が
線路の盛り土の至る限りを埋め尽くして綻びては咲き乱れ
貴方は、その内の一本を雲のない空の一隅に手向けては
哀しげな横顔で私の言葉達を黙って耳にしながら
私の指を捕り、その指先を頬に導いては微笑んでいた

遠過ぎて聞こえない小川のせせらぎは山向こうに去り
貴方のシャツを汗ばめた陽も、その小川の音を追い
息を潜めたままに深い眠りに就いている山と森の動物達は
私達の微かなになりゆく足音に耳を傾けては
月のない星空の下を想い、今しばらくの眠りに入り
私達も、やがて人気のない街に出て
互いの影だけを黙って抱きしめる夜を迎えるのだった
2012-07-27 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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