忘却を与えられた時間が残すモノ

借りたはずの本の貸出カードが新調され
そこに、あったはずの名前がなく
花咲き乱れていたはずの畦道が幅広の舗道となり
数えていた名を知らぬ路傍の花々がなく
名前を知っている花が装っている

そのように変化は常に喪失として訪れるが
辿ろうとした足跡は消えるのではなく
後から覆う葉の下に埋もれただけだったり
後から来た人の足跡が上に重なっただけだったりする

昔、訪れた場所を地図で辿ろうとすると
新しい地図には、そこに至る道はなくなっていて
宅地記号で埋め尽くされていて
畑や田圃、山や川、果ては海までが消えて
そこには道が一本引かれて、そこに導いている
そんな場所が私達の常に目指している場所だ

足跡がそうであるように、時間も同じく
消えるのではなく変わるのであって
時間が過ぎ去ると消えてしまい
過去のもののように想えてしまうのは
時間に残された足跡も求める地点もないからで
私達が忘却と呼んでいるものと同じだ

そして、ほとんどの時間は過去のものとなり
実は残されたものも求められたものもないままに
ただ忘却を与えられた時間は私達を置き去りにし
決して過去には戻れないという時間の復讐に気付き
私達は哀しみを記憶し、足跡を刻み始めるのだ
2012-08-01 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補