夕暮れ時に雲流れ、風が吹く

ただ吹くことを理由として風は吹いたが
その風音を聞く人々は風を理由に空を見上げ
澄み渡った空に細長く流れる雲を見ては
風のせいだと想って街に視線を戻すのだった

あたかも風を求めているかのように雲は
風の吹くままに棚引いてはいるが
それは確かに暮れていく夕暮れに合わせ
大きさを増してゆく夕陽を追っているからで
理由なく吹き始めた風も又、夕陽を追っていたのだった

むさ苦しい昼の人いきれは風に紛れ
迎える夜の喧騒が遠い水平線の
聞こえない波音とともに街に満ちてゆき
やはり風の吹く理由を人々は想い
しかし星の瞬かない空を仰ぐことはなく
独り、雲は夕陽を追い千切れたままに消えたが
その軌跡に沿って空を渡る下弦の月があり
その弱い月明かりにさえ消える星があった

風は吹く理由を持たないままに夜も吹き
しかし風を受ける雲はなく
ただ何も無い夜空を静かに駆け巡り
時折は頬を優しく撫でることもあるが
もう一度、雲のあった空に舞い戻っては
幾度も夕陽の消えた方向に向かって吹き続けていた
2012-08-05 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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