唇の形だけを信じたかった

偽りだけで出来た祈りを照らし
雷鳴を伴わない激しい閃光の反射した雲は
ひたすらに、どこまでも深い暗闇で
私の愛した貴方の瞳に、どこか似ていた

時に拒絶された一瞬に永遠を求めて
真夏の寒さの中で花弁が震え
真冬の暑さの中で種子が芽吹き
春と夏と、それぞれの中では全ての生育が止まり
つまりは愛の育つ時は永遠に失われ
永遠が幻の一瞬に凝縮されたのだった

偽りだけが流れる川を縦断すると
上流から零れ流れくる偽りだけが足に絡みつき
やがては川に代わって遡上を拒否し
その偽りを裏切りと名付け、足から取り除いたが
そのまま下流へと流れ去っていくことはなく
岸辺に生える水草に絡まって、なお留まっていた

流れが激しくなるに連れて閃光は一層、激しく
飽かずに雲を照らし散ることを繰り返し
それでも雷鳴は、なお遠ざかって行くばかりで
貴方の瞳と、唇から漏れた言葉に似ている

もう水に浸った足の感覚はなく
歩いていない歩行だけが川の上流を目指しているが
いよいよ叢雲も千切られて切れ切れになり
それでも尚、激しさを増し続ける閃光は
開けた夜空の闇を満たす無限の粒子を照らし
ほんの微かな信仰に似た祈りに変わって闇に去った
2012-08-12 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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