捨てられたポストに投函する手紙

雲に反射した波音の響くコテージが
激しいスコールに見舞われると
シャツはびしょ濡れになり
夏の熱は気化熱となって奪われ
それと共に、夏の恋の一部も奪われた

湿った砂が、うっすらとフローリングを覆い
裸足の足裏に夏の痛みを残すが
冷えてゆく部屋の中では所在も行く先もなく
集積する宛先のない手紙達のように
ひたすらに待ち続けるだけの存在となってゆく

ペンキが剥げて横倒れに捨てられたポストが
窓の外で、まだ止まぬ驟雨に打たれ続けていて
裸の貴方はベッドに横たわりながら
手紙を投函されないなら撤去すればいいのに
と呟いて独り、気だるい眠りに落ちてゆく

冷たいシャワーが身体を伝う感覚に混じり
貴方の気配は希薄になってゆくのを感じながら
私は、捨てられたポストに投函するならと
手紙の文面を考えていた

投函する手紙の内容は決まっていて
別れるための言葉を並べるしかないのだが
実際には別れの代わりに愛が謳われ
ポストの中は宛先のない別れで満ちていた

しばらくすると夏の熱はシャワーに流され
私の身体は、すっかり冷えきってしまい
別れを知らないままの貴方を抱きに行くのだった
2012-08-25 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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