足跡の消える前に去れば

強い影に消える足跡が波音に晒されている

西に向けて並ぶ白壁は夕陽に映え染まり
これから水平線を目指す船の離岸が
薄くなってゆく水色の空と一つになり
靄がかった山並からは、やはり紅い月が出て
終わらない祈りを追い昇り始める

背中に抜けてゆくだけの風が吹く視線先で
行き交うだけの人々は歩き出し
時間を忘れたままに夕暮れに沈むホームに向かう

いつも、その駅を過ぎるだけの特急電車
その窓からは好奇の目だけが駅に降り掛かり
見送られることのない溜息も
もう少し、この駅に留まることになる

もう少し早く出るべきだった駅には溜息しか残らず
無邪気な喧騒すら陰鬱に想い出され始めてしまう

波音の合間に少しだけれど
憂鬱を置いて来れたのが、せめてもの救いだが
私は又、街の憂鬱を拾ってしまうのだろう

それでも風景が徐々に走り始めるにつれて
消えてゆく足跡が想い出され
少しだけ優しい眠りに誘ってくれたのだった
2012-09-13 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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