桜の花弁と共に

一度、傍を通り過ぎただけの季節達が
幾度も周回を繰り返す中で
散り止むことのない桜の花弁を
たった一枚だけ掌に受けポケットの奥に押し込んだ

繋ぐ電線もないままに街灯が連なり
月のない淡い星空の下で
ボンヤリと寂しげな夜を照らしている

遠くの雲が、時折、稲光を受けて姿を見せては
直ぐに闇に紛れて消えて押し黙り
山鳴りを吸い込んでは息を詰まらせる

一輪の花だけを残して去った貴方は
足跡すら風任せに消えるままで
彼方の記憶は薄れゆく虹より薄く
もう二度と戻ることはない

だので私はポケットを探り
一枚だけ押し込んでいた桜の花弁を、そっと取り出しては
四方八方からの僅かな光を頼って淡い輪郭を撫で
また、そっとポケットの奥に押し込むのだった
2012-10-10 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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