月の時間が過ぎる夜

ただの坂でしかなかった平地は
過去を捨てられ、忘れられ
淡々と平らかにされるままに広がり
伸びた先を夕陽に遮られる道が敷かれていた

道脇で鳴く虫の音は時を経ることなく
ただの坂であった頃と変わりなく
道行く人を時折は立ち止まらせることもあるが
何とも知られぬままに夜のしじまに消えるだけだった

ボンヤリと点灯する街灯の灯りに
哀しみを預けながら人は足早に歩き抜け
戻るべき場所を探しながら
戻るべき場所に向かうのだ

通り過ぎる季節を抜け新しい季節を迎えるには
せせらぎの音が変わるのを待つしかなく
遠い山々が季節の巡りを見つめながら
夕暮れの中に、やはり茫洋と消え行きながら
懐かしい季節から去ることが出来ないでいる

消えた山々から静かに昇る月は軌跡を変えず
しかし変わらぬままの季節を見下ろしては
ただ黙って自分の時間を過ごすのだ

そして忘れられた坂の先に月が掛かると
きっと少しだけ寂しさを想い出し
それが何なのかを考えながら
山々の反対に向かって歩き始めるのだった
2012-10-20 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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