無題(届かない波)

完結しないままの書籍を手にすると
留まったままの夕暮れに染まり
淡い木洩れ日すらが遠ざかってゆく

木々の厚い葉の隙間からは僅かな陽が漏れ
その光を頼りに小波は揺れていたが
ついには鏡面のように鎮まり
紅いだけの空を映して燃えるのだ

湖畔にある家が一軒、窓は湖しか写さず
やはり紅く燃えたガラスが溶け
原型を失った黒い塊となって湖に落ち
その時、反対岸を目指す新しい波は起き
終わりのない書籍は湖に沈んでゆく

私達は始まりだけしか知らないままに
遠くの山々まで染める夕暮れの中
終わりのない夢と眠りとに想いを馳せていた

やがて二人で潜り込むベッドを探しに
手を取り合って戻ろうと機会を伺いながら
それでも照れ笑いだけが続くままで
まだ反対岸に届かない紅い波を見送っていた
2012-10-25 19:42 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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