振り返らずに何処に消えたのだろうか

全ての冷たさを抱いた月裏の氷穴ならば
地球を照らさない陽の光を見ることがあるだろうか
遠く幾百億光年先で凍て付く陽の光の粒の微かな軌跡を
ガタついた机上の埃と共に、忘れられたまま微笑んで
決して届くことのない手紙とともに

貴方の後を、貴方の跡を追い縋るならば
誰も通ったことのない道を歩くことが出来るだろうか
私だけが通り抜けては消えてゆくだけの足跡で出来た道を
ただ一つの何物も残さずに、消えてゆくままに微笑んで
決して振り返ることのない風に靡く一束の髪と共に

見る人を求めることなく花束を飾りながら
添えるべきメッセージを考え続けても
宛先を失ってしまったことに気付くことが怖くて、哀しくて
何度も白紙のメッセージを破り捨てては花束をも捨てたのに

独りの夕暮れを街中に求めても侘しくて
数え切れぬ程、独りきりの夜を探し求め歩いたけれど
どこへ行っても辿り着いても、仄かな温もりと優しさに出遭い
戻るべき所を忘れてしまいそうになる

何も振り返らずに、どうやって消えたのだろうか
何処とも知られずに、どうやって消えたのだろうか
ただ黙ったままの風に吹かれるだけで
それでも鼻腔奥の微かな残り香は、いつまでも消えず
ただの冷たさだけに身を任せ竦ませて
忘れられない髪を梳いた手を見詰め続けている
2012-11-17 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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