偽りに浸り

歩き疲れて斃れた男は薄く横たわり
その上を人々が行き交い通り過ぎつつ
気付く者とてないままに雨が降り
その背中を濡らして流れ
やがて街路を運び始める

瞳に映る曇天は動かないままに
その光の鈍さだけが増してゆくばかりだ

時折は捨てられた煙草にも出遭い
手を伸ばそうと想わないでもないが
伸ばす手すら萎びたままに
泥濘を掴むように掻くばかり

偽りにしかない優しさに縋り
偽りだけを求め、愛したままに
雲が厚さを増しながら早駆けし始めると
男は薄いままに壁に凭れ立つ

風のないままに雲の速度が増し
クッキリと浮かんでいた虹すら飲み込んで
山際を越えつつ沈む先を求めながら
次々と現れては去ってゆく

ようやく立っているだけの男は
それだけが動かない雲に映る自分の影を
仰ぐままに厚みのない涙に濡れている
2012-11-26 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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