三時事記

哀しみを壊して池に沈めた後
畔を囲う森樹の一本に寄り添い
その樹肌を撫でて、ただ泣いた

誰の足音も聴こえてはこない
その永い時間を独り
粗い樹肌を抱くように撫で
ただ泣き続けていた

その姿を嗤ってくれる誰かが欲しかった

だのに春風は優しく吹き
知らない花の芳しい香りを運び
空は美しいまま変わらず
池までもが透き通ってゆくのだ

一体、何を壊して泣いているのか
もう今となっては分からぬが
大切なナニカを失ったまま
世界の、その真ん中に立ち
樹肌を撫でながら
ただ独り、泣き続けるのだろう
2013-01-19 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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