「重力の都」(中上健次、新潮文庫)所収、「刺青の蓮華」「ふたかみ」「愛獣」三作
短編集中、後半三作の内「盲目」に触れるのは「ふたかみ」のみ。
「刺青の蓮華」では「残りの花」の主人公と同名の「十吉」が出てくるが、何故、同名なのかは分からないし、理由があるかも不明。
主人公の十吉は、背中の刺青ゆえに存在を認められるかのような若者で、刺青で辛うじて「路地」に留まっているように見える。主人公は、むしろ「刺青」といった趣きだ。
「ふたかみ」では子供の性戯が描かれるが、小児愛的なものとは大きく一線を画している。童譚というのがあるかは分からないが、敢えて言えば、そういうものかと想う。自身の幼い頃の「危険な遊び」を想い出すと得心のいく綺麗な作品だ。最後半で「ふたかみ」の姉が「大人」になった弟を盲目にすることで子供に戻そうとする場面は怖い。
「愛獣」は神話・民潭と現実の混交、聖俗混交の様の印象を受けた。その入り混じり方が至極、当たり前に感じてしまう。「熊野」という不思議な土地の魅力を改めて感じさせる。熊野は二十年来、行きたくて行けずじまいの土地。いつか行ってみたい。
- 2006/08/11(金) 00:16:55|
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