晩冬を跨ぐもの

春は硝子窓越しに訪れるものらしい

記憶にある昨日の硝子向こうは
やはり明るく陽が差し、暖かそうで
それでいて外気に触れると身が切られ
まだ遠くまでは歩いて行けなかった

今日も決して寒くないことはないのだけれど
少し厚着をすればと知らない川縁に座っている

土手から見える川は凍っているように
暗い顰め面に薄く雲が映るだけで
まだまだ水は冷たそうで身が竦む

土手を降りた時も、まだ
枯れた背の高い草叢は川音すら遮って
どこをどう歩いたか
気付くと人気のない野球場に出た

乾いた土が冷たく、力なく舞い
ベンチに積もる埃となって
座るものを拒んでいる

それでも微かな川音が嬉しくて川の辺に立てば
向こう岸にも知らない人が立ち
お互いに曖昧な笑顔を浮かべながら腰を下ろす

こちらからなら見える鮮やかさを増している背後の緑
それを見ないのかしら
と、少し不思議にも想うけれど私も同じことで
まだまだ触れれば冷たいだろう川の流れに向かい合い
いつ冬が終わったのだろうかと考えていた

気付くと土手からは野球少年達だろうか
賑やかな声を上げながら球場に向かう様子で
背を照らす陽を景気づけて暖かい
とても、暖かい
2013-04-07 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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