この希求を、探さないで

剥き出しの生身の世界に触れるとき
その世界の乱暴な優しさに包まれるとき
私は言葉をギュッと握り締める

雨が音を立てながら地面から降り始め
周囲の空気は私の体温に同化する
私の何かが溶け出して、ぬるりと空気を泳いでゆく

無限の厚みで死んだはずの全ての人々が重なり
それは散り散りに小さく引き裂かれたまま重なり、私を覆う
私も同じように極小で、ただ同時に極大で
私の直ぐ外では全ての人や動物や植物や物やが蠢いている
全き私の中でも全てが蠢いている

それら全ての祈りを聞き届けながら
その一つ一つを自分のものとして、もう一度、祈り
ささやかな私の祈りは私の下を離れてゆき
全てが私のために祈るのだ

世界に響く音という音
それらは、どんなに遠くても私に届き
私の、発する前の声という声
それらは、どんなに遠くまででも響き渡る

握り締めている言葉だけを頼りに
私は、もう一度、私に還る
私を満たす、言葉無き無限の私を身に感じ受けながら
その微細に過ぎる一つ一つが
世界に満ちる哀しみと、世界に満ちる優しさと
愛の狭間に生まれた二つに満ちるのを知り
雨が空から降りそそぐ、世界に戻る
2013-05-16 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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