星と争ってみた話

晴れ抜けているのに星が見えない夜空の下で
男は少し傾げた視線の先、薄曇をすり抜けた星ひとつに出遭った
侘しい昼夜にひび割れた指先に挟まれた文庫本は
安っぽく、少し知った人には笑われるような内容で
哲学だか思想だかを至極、簡単に解説したものと謳われている
深遠な、遠い過去からの哲人の言葉など
そこにあるはずがないとは男も知ってはいる
それじゃあ、あるべき言葉とは何ぞや
男は、もう片手にぶら下げた酒瓶の重さにひき比べて嗤うのだ
それじゃあ、あるべき思想とは何ぞや
男は、本を打ち棄てて街路樹の影に放尿しながら嗤うのだ
嗤いながら止まらない哀しみを仰ぐと空が訪れ
うっすらとした雲の輪郭を辛うじて逃れた星を一つ
視野の限界にとらまえた
どれ程の時間、耐えられるだろうかと睨みながら
俺の負けだよ
そう呟きながら、少し温かみを増した夜道を足裏で舐め
男はアルコールを抜き去られながら家という家
その全ての玄関を跨ぐように
夜の闇を濃くしながら温かな風呂を目指すのだった
2013-05-22 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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