約三つの場所で起きること(または起きないこと)

探さないまま置いておいたはずの夜
窓を閉め切ることは決して出来ないので、そっと彼は忍び込む
眠りを連れてきた方が良かっただろうかなどと戸惑いながら
安らかな眠り、死に至るかのような細い寝息
生きているざわめきを際立たせる静けさが寒々として夜は震える

水平線の上に並び浮かぶ森林地帯
ぼやけた常緑樹たちの猛々しさは海向こうの異国の歴史
こうして静かに歩いていると逃げ水のように近づきながら遠くに
そう、時間的な遠くに置いておこう
それは過去ではないし、ましてや未来でもない
ただ時間的にだけ遠いところ

男の頭には原始的な蔦を縒った鉢巻が巻かれ
大きく鮮やかな羽飾りが一本だけ雄々しく挿されている
握り締めた棒は大地を激しく叩きながら
四方から投げつけられる石で流れる血に塗れ
夕暮の中で咆哮し、屹立し続ける

白い石で出来たベンチには詩集を手にした女が一人
暗い空に気付いて立ち上がり、スカートをはらい微笑む
突き抜けるような真っ赤な夕暮れを向こうに
どこまでも連れて行ってくれるダークブルーの空は
夜を押し退ける力を少しづつ失いながら女性を抱き寄せる

女は今日も来なかった男のために夜を探し
ベンチの上に安らかに寝ついたことを確かめた後
想い付く限りの愛撫を託して街灯を追い掛け消えるのだった
2013-05-25 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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