残酷な自転車

理由を忘れて…
そう書き始めたくなったら終わりだとわかった
だので、理由を忘れて枯れてしまった冬を想いだす
叫びに呼ばれる時代さえあったのだが
もう覚えているわけもなく、
それは想い出されるようなところに微妙に位置したか
赤子を乗せた電車は停車駅を忘れたし
わたしたちは皆、遠い山並みが近づかないことを
その車窓が遮る雨のように知っていた
土竜を想いだそうとして土筆を披露してしまう
そんな辞書を片手に輪舞は終わる
自転車、ということばを
ここまで使わなかったこと、
それが、ここに書いたことのすべてだと言える
2017-06-07 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

もうひとつの空と出会いて

静けさよりも怒りを与えよ、
古老のような怒りを与えよ
遠く雷雲が光り泣くように怒りを与えよ
誕生とともに知った、
その純粋な怒りを手に地に満ちよ
それが神の願いであるのならば
しかし、静けさを求めよ
怒りよりも静けさを求めよ
静けさのなかに潜む裏切りの愛を
怒りのなかに潜む正義の愛へと変えないでくれ
わたしの空には神がいない、
わたしの空には、愛がいない
2017-06-06 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

曇天は空を下り

いくつもの叫び声がこだまする、
反射する先を求めて彷徨っている街のあちこちは街角である
ストレート、緩いカーブ、のぼる坂、くだる坂…
それらすべてが街角である
砂浜に似た街角である
公園で幼児の遊ぶ砂場に似た街角である
遠くから近くへと呼ぶ声、叫ぶ声、
それらがこだまする、反射する先を求めて彷徨っている、
街角は街のあちこちに立ちつくしている
まるで次の季節が訪れてくれない季節のように
季節は次の季節をしることはない
街角も次の街角をしらなければ良いのに
ー曲がる街角は残酷だねぇ
そう呟くように曇天は空を下り
叫び声、呼ぶ声、すべての声を飲みこむ街角になった
2017-06-05 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

それで、それでは、と語り継がれよ

涙を流す季節だけに流れる川で
浅い眠りが流れてゆくのを見守っている
どんなかなしみが待ちうけていようとも
そして最後は、かなしみしか残れない街で
語ったことばかりを語り続けるように出遭ったきみと出遭う

もう一度、いうべきだろうか?

涙を流す季節だけに流れる川で
浅い眠りが流れてゆくのを見守っている
どんなかなしみが待ちうけていようとも
そして最後は、かなしみしか残れない街では
語ったことばかりを語り続けるように出遭ったきみと出遭う
2017-06-04 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

廊下は巡りて

遠くにだけ届く声については
いくども語りつくされてきたのだが
近くにはけっして届かない声について語るべきだっただろうか
月のように長い女の声は、やはり遠くにだけ届くのだ
近くにはけっして届かない
(聞き届けられないということなのだが)
やがて訪れるだろう秋に備えて
湖畔をめぐるように越冬する鳥の群れに紛れ込む
そこに眠りはない、半分づつの眠りに眠りはない
そう断定する冷たい切り株に座り
あなたは、あなたの哀しみについて語れない
短すぎる廊下は嫌いだった、
だから巡る廊下を作ったのだった
近くにある遠くというのは、巡る廊下のことだ
そう言いたいだけだったのは、あなたではない
それは、きみである
その存在は風景を季節に変えるだけだったが
2017-06-04 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

永遠の笑顔に

そっと抱きしめるだけでかりそめに成形されるだけ
その砂のような愛をそれでも求めるというのか
抱きしめるというのは蜃気楼のようなものだと泣きながら、それは

愛することを放棄しながら戦争を放棄するか
愛することを獲得しながら戦争を継続するか
子供たちに突きつけられて教師どもは今日も燃えたぎる
彼らの使命はソルジャーの養成であるに違いあるまい
狂気にだけ駆りたてられた情熱の、
あまりに人間臭さに生き物すべてが死を捧げた

実際、臭くてかなわない、
夕暮れから朝焼けに移り変わりながら戻る風のような季節
熱気を帯びた女の体が男の体を破壊してゆく
真冬の受胎のように女たちは立ちあがり
男どもの屍を踏み踏み踊り狂うだろう

足早にかけぬけるに限る
そんな愛は捨てるに限る
すべてはかりそめに限る
きみの笑顔は永遠に限る
2017-06-03 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

街角の存在する過去へ(未来と)

どれだけの哀しみを背負ったとしても
私たちは私たちになれないまま遠ざかるだけだった
その許されざる接近をことばと呼び、
詩と呼ばれるものを書くものが生まれ、
やはり遠ざかるのだった
「もしも泣くことが許されるのならば泣こう」
そう街角で少女の肩を抱きながら男は母親になった
私の向かう先に街角は存在を忘れ
風のように真っすぐな直線だけが円やかに描かれていた
直線は別れを知らない…
いや、直線こそが別れである…
実は、どうでも良いようにどちらもが真実だった
それを知るには光よりも遅い世界が必要だったが
なんにつけても背負うためには背中が必要なのだ
その背中を持たざるものどもよ、
哀しみを哀しみとして遠ざかるものどもよ、
明日の朝に、やはり陽は昇るのか
お前たちの朝に、朝陽がさしたことはあるのか
朝陽は俺たちを知っているのか
2017-06-02 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

想い出に刻め、死ねない鳥たちを

声をさえぎって叫びが通りぬける海の季節、
凪いだままの風に命は残っているか?
砂浜に似た恋をした真っ黒な人々の群れを想い出せるか?

磯を作るためだけに壊れていった海を、
それでも季節は負うのか
季節に運ばれて海は訪れてくるのか
闇夜をすり抜けて苦しい夢のうちに
涙のなかに広がる遠い未来のうちに

高い山を越えてゆく鳥を見た
海を失ったままの時間だけを羽ばたき、
けっして死ぬことを許されない鳥の群れを見た
2017-06-01 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

すべて同じ星

とりあえず、知らない道をひとりで歩くように、
川が流れるのを待ちながら待ちぼうけも一緒に待った
待ちぼうけは待たれるのを好むのである
その星が光るとき、ほかの星は光を失うが、
その星もほかの星もすべて同じ星であるのは
あまりにも大雑把な哀しみに慣れてしまったからだ
そう言いながら駅舎を掃除するランプ
「最近のランプは点灯することを知らないわねぇ」
初老の夫人が上品にため息を残す方法を孫に教えていた
お決まりのゲーム機など持ったことがない手、
その手は夫人のもの、夫人だけのものなのだった
「さあ、明日はどこに行きましょうか?」
孫のようにみえた犬がささやきながら
線路と線路の間に滑りこんでいった
2017-05-31 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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拝啓




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2015.07.17.

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